第7章 夢の中の人は。
「大丈夫っ⁈血が、、ちょっと待って?」
憂太君は自身のポケットから手早くハンカチを取り出しぎゅっと止血をしてくれた。
『ごめんなさい、、、』
「なになに〜?手、切ったの?」
リビングでテレビを見ていた五条さんがカウンターから顔を出してきた。
その手には高級なカップアイス、口にはスプーンを加えてる。
『すいません、、お皿割っちゃいました…』
「いーよ、そんなの。傷深いなら硝子んとこ行く?治してもらえるけど。」
私はブンブンと首を横に振った。
こんな切り傷程度で家入さんの手を煩わせたくない。
『いえっ‼︎全然大した事ないので大丈夫です。』
「さん、お皿は僕が片付けるから座ってて?」
申し訳なく思いつつ、ここに居ても邪魔なだけだと思い、憂太君の言葉に甘えさせてもらう事にした。
椅子に座りハンカチが巻かれた手に視線を落とした。
・・・・・・あれ?
確か前にもこんな事があった気がする…。。
『・・・・そうだ、夢、、』
ふと、あの夢を思い出した。
ガサガサとチェストの引き出しを漁っていた五条先生が「あったあった!」と言いながら絆創膏を差し出してくれた。
『ありがとうございます…あの、五条、、先生…』
"先生"と呼ばれた事が嬉しかったのか、五条先生は嬉しそうに口元を緩め私の隣に座った。
「えっ⁈なになに〜〜〜⁇グレイトティーチャー五条先生に相談かな?」
『いや、相談、、というか…ちょっと思い出した事があって。』
「うんうん。」
『母が死んだ日の夢を今でも時々見るんです。
学長室での話が刺激になったのか、さっきもあの日の夢を見て…、、、
ーーーー今日はやけに鮮明に覚えてるんです。』
指に巻かれたハンカチにそっと手を添えた。
『母の後を追おうと手首を切った後、男の人が現れたんです。
その人はあちこちに人が倒れているのに驚きもしないで、私の前に来ると"君が祓ったのか?"って。』
五条先生の顔がスッと真面目な顔つきに変わった。