第7章 夢の中の人は。
あっという間にカレーも食べ終わり、皿洗いだけでもしようと皆んなのお皿を流しへ運んだ。
スポンジに洗剤をつけ、グラスを洗っていると、ひょこっと憂太君がキッチンへ入って来た。
「さん、僕も手伝うよ。」
『え?いーよ、憂太君カレーも作ったんだし、ゆっくりしてて?』
「じゃあ洗うのはお願いして、僕は拭こうか?そしたら早く終わるし。」
ね?と笑う憂太君に少し戸惑いながらも、
じゃあお願いします。と軽く頭を下げた。
気さくで優しい男の子だなぁ…。
男友達は勿論、地味で目立たない私に優しくしてくれる男の子なんて今まで居なかった。
その時、布巾に手を伸ばした憂太君の左手薬指にキラリと光るモノが目に入った。
左手の薬指に、、、指輪…?
これは世間で言うペアリングというやつなのだろうか…。
ーーーー憂太君、彼女いるんだ…。
彼女いるのに、私なんかと同じ部屋で迷惑だろうな、、、
彼女さん、怒ったりしないかな…。
ぼんやりとそんな事を考えていると、手が滑り持っていたお皿を流しに落としてしまった。
『あっ、、‼︎』
ガチャンッ
お皿同士がぶつかり見事に真っ二つに割れてしまった。
『すっ、すいませんっ‼︎』
「さん、危ないから、、」
憂太君の制止も聞かず、私は慌てて割れたお皿を片付けようと破片を拾った。
『ーーーッ‼︎』
人差し指にピリッと痛みが走った時にはすでに血が滲んでいた。