第6章 調査報告
「けれどその日、重症を負って病院に運ばれたのは父親の方です。
父親は肋骨を3本と鼻を骨折。頭を強く打ち付け脳震とうを起こし病院へ運ばれました。」
「・・・へぇ。なるほどねー。」
五条さんが呟いた。
「当時、父親を殴ったのは自分だと母親が名乗り出ました。
けれどお母様も首を絞められていた為、正当防衛で処理されたようです。
けれど父親は最後まで「娘に殴られた。」と主張していましたが、その時のさんは5歳。
誰も彼の言うことを信じなかったみたいですね。」
『・・・5歳の私が父親に怪我を負わせたって事ですか…?』
到底信じがたい話しに戸惑いを隠せないでいると、隣に座る五条さんが口を開いた。
「呪力で身体能力を補えば有り得ない話でもないよ。」
『そんな、、、まさか…。』
「それと、もう一つ。
さんが精神を病み、入院した時の事件についてですが…、
お母様は土砂崩れに巻き込まれ亡くなっていますね?」
『・・私はその時の記憶はありませんが、そう聞いてます。
確か今ぐらいの梅雨の時期で、長雨が続いていたせいだと…。」
伊地知さんがメガネをずり上げた。
「・・はい。世間ではそのように報道されていました。」
膝の上でぎゅっと手を握る。
あの日の出来事は全部聞いて知っている筈なのに…心臓が嫌な音を立てる。
何か他に私の知らない真実があったら、、、?