第5章 任務
「ーーーコノオンナ ト ワタシ ドチラヲ アイシテル?」
数分前の五条さんのセリフが頭を過ぎった。
"カップルで来た女の方だけが被害に合う"
危機的状況にも関わらず、成る程…と思った。
きっとここに来たカップル達は、今の私達と同じ状況になり、彼氏は彼女を見捨てて逃げ、残された彼女は殺されたんだろう…。
好きだ愛してるだと囁き合っていたって結局、皆んな自分の命の方が大事なんだ。
私は腹を括り、繋いでいた手をゆっくり離した。
『・・・五条さん、、行っていいですよ。』
震えそうになる声を何とか隠して出来るだけ普通に話した。
けどそんな私を、五条さんは観察するかのようにじっと見つめたまま動かない…。
アイマスク越しでよく分からないけど、まるで後ろに立つ呪霊には興味が無いかのように思えた。
「、マジで殺されるよ?」
普段より低いトーンで話す五条さんはピッとライトを消すと携帯をポケットにしまった。
「ギィーーーーーーーー‼︎」
痺れを切らしたように呪霊は叫ぶと、ガシッと私の頭を掴み上げ宙に浮かせた瞬間、鎌を大きく振り上げた。
身動きも出来ない私は、ぎゅっと目を閉じ死を覚悟したーーーーーー。