第5章 任務
車から歩く事数分、目の前に古びたトンネルが見えてきた。
両脇は山に囲まれ木々は生い茂り、所々コンクリートは剥がれ錆びれてしまっている。
『・・・今は使われてないんでしょうか?』
「うん。今はこの下に新しい道路が出来たからね、実質ここは使われてない。
けど、幽霊が出るとか人の声が聞こえるとか、そんな噂が流れて肝試しに来る若者が後を絶たなくて実際に呪いの被害に合ってる。」
『・・・トンネルの中にいるんでしょうか…?』
「そーだねぇ、は何か感じる?」
私は首を横に振った。
実際、トンネルを前にしてもあの嫌な感じはしない。
五条さんはスマホのライトを点けると、
「じゃあ中、入ってみよう。」
そう言うと、スタスタと真っ暗なトンネルの中へ入ってしまった。
『ちょ、ちょっと待ってください、、、』
慌てて五条さんの背中を追う。
トンネル内は真っ暗で、スマホのライトだけが頼りだ。
湿っぽい匂いと暗闇が恐怖心を煽る。
さっきの廃病院といい、このトンネルといい、今日だけで絶対寿命が縮まったに違いない。
ポタ、ポタ、、と天井から水が滴れ落ちる音がしてビクビクと肩を震わせていると、
「わりと長いトンネルだねー?先が見えない。」
『・・・そうですね、、あの、もう少しゆっくり歩いて下さい…』
足の長さのリーチが違う為、ついて行くのに必死だ。
「あ〜ゴメンゴメン。早かった?
それよりさ、後ろを歩くんじゃなくて隣、歩いたら?」