第5章 任務
次の目的地はかなり山奥まで車を走らせた所だった。
くねくねと細い峠道を抜け、舗装もされていない山道に差し掛かると新田さんは車を止めた。
「ちょっとこれ以上は引き返せなくなりそうなので、ここからは歩いて行ってもらっていいっすか?」
「ん、りょーかーい。じゃ、少し散歩しよっか?」
ただの散歩ではない事は分かってる…
でも飄々としてる五条さんが一緒なら何となく大丈夫な気がしてくる。
私は頷き、車から出ようとすると、隣に座っていた憂太君が声を掛けてきた。
「さんっ、、、その、、気をつけてね…」
心配そうな顔で見つめられ、私は口の端を持ち上げた。
「次は迷惑掛けないようにしっかりします。」
憂太君はまだ何か言いたげな様子だったけど、五条さんに呼ばれ、慌てて後を追った。
車内に残った新田と憂太の視線がの背中に向けられる。
「あの子、、大丈夫っすかね…。
調査資料によるとこの先のトンネルに潜んでいる呪霊はおそらく2級、それも決まって女ばかり狙うみたいっすよ。」
「・・五条先生が付いてるから大丈夫、と言いたいですけど…。
何か考えがある感じでした。
もしかしたらわざと危険な目にあわせるのかもしれないですね…。」
「え〜〜⁈まだあの子、入学したわけじゃないのにヤバいっすね‼︎
学長が知ったら説教どころじゃ済まないっすよ⁇」
「・・・・。」
2人の姿はもうすでに見えなくなっていたが、憂太はじっと窓の外に意識を集中させた。