第5章 任務
「闇より出でて闇より黒く その穢れを禊ぎ祓え」
五条さんが何かを唱えると、空が黒い幕のようなもので覆われ始めた。
『そ、、空が、、、、‼︎』
「あれは帳といって、僕たちを外から見えなくさせて、呪いを炙り出す結界だよ。」
「へぇ、、、すごい…夜になったみたい…」
あっというまに黒い幕に覆われると、憂太君が建物に足を向けた。
「じゃ、僕の後に着いて来てね?」
『は、、はいっ、、、』
彼の後ろに続き、薄暗い建物の中へと足を踏み入れた。
重苦しい空気の中、びくびくしながら辺りを見回す。
こ、、これじゃあまるで肝試しだよ、、、
廃病院なんて肝試しの定番中の定番だ。
でも、、ここに何かがいるのは私でもわかる。
多分…2階…。
その時、顔に何かが当たり、思わず悲鳴を上げた。
『ひっ、ひぃっっ!⁉︎』
憂太君が勢いよく振り返り、私の姿を確認するとホッとしたように眉を下げた。
「・・・蜘蛛の巣、、だね、、大丈夫?」
『す、すいません…変な声だして、、、』
前髪についた蜘蛛の巣を取りながら謝ると、憂太君がクスッと笑った。
「いや、僕も最初の任務に連れて来られた時はもっと酷かったな、と思って(笑)
足はガクガク震えるし、怖くて同級生の背中に隠れてた。」
『へぇ…今の憂太君からは想像出来ない…」
憂太君は目を伏せ、首を横に振った。
「僕なんてまだまだ半人前だよ。
同じ一年生にはもっと強い人達がいる。
皆んなに追いつく為にも、今はできる限り呪いを祓って自分に自信を付けようと必死なんだ。」
憂太君、同級生の話をする時は表情が緩むんだな…
同級生の"仲間"の事を大事に思ってるのがひしひしと伝わってくる…
それが少し、、羨ましい。