第3章 私は何者か。
乙骨side
薄暗い寮の廊下を五条先生と肩を並べて歩く。
チラリと窓の外に視線を向けると、雨は止んだものの紺色の空には月や星の姿はない。
視線を戻し、今度は隣を歩く先生の顔をチラッと覗き見る。
ーーーあぁ、、嫌な予感しかしない…。
五条先生はニンマリと口の両端を上げ、ご機嫌な様子だ。
「・・先生、そろそろ説明して下さい。
この階って今は誰も使ってないですよね?」
「うん、そーだよ。
寮の3階の部屋は間取りが広くてね。
呪術師は複雑な事情を持ってる人が多いから、家族で住めるようにって一応こういう部屋も用意してるんだよ。」
「・・はぁ。」
初めて聞く話に曖昧に返事を返すけど、それより今何でその部屋に向かっているのか、
その理由が知りたいんだけどな…。
フンフーンとご機嫌に鼻歌を歌う先生はポケットから鍵を取り出すと、ガチャッと鍵を開けた。
「ささ、入って?今日からここが僕と憂太の愛の巣だよ♡」
「・・・・・はい?」
耳を疑うセリフに思わず固まると、先生は
「なぁ〜〜〜んてね」と笑いながらスタスタと中へ入って行ってしまった。
「・・・・先生〜〜〜‼︎」
すでに部屋の中を探索している先生の後に続き、僕も中に入った。
間取りは2LDK。
簡易キッチンもあって確かにここなら家族で住めそうだな、なんて考えいると、個室の方から五条先生の呼ぶ声が聞こえ足を運んだ。