第3章 私は何者か。
それからお互い名乗るだけの自己紹介を簡単に済ませると、早速あかりちゃんの事を切り出した。
『それで今、あかりちゃんはどこに?』
ここの学校の医師であるという家入さんは足を組み、デスクの書類に目を向けた。
「あなたの友達は今病院で治療を受けてる。
命に別状はない…けど精神的なダメージの方が大きいみたい。」
『・・・精神的、、』
命に別状はない、という言葉にホッとするも
心の傷がそう簡単に癒える筈がない、、そう思うと胸が押し潰されそうになった。
「あなたに外傷は一切無かった。念のためレントゲンも撮ったけどどこにも異常は見られなかったよ。」
『・・・そうですか…』
正直、自分の事なんでどうでも良かった。
すると、五条さんがキャスターの付いた椅子を滑らせながら私の隣に並ぶと、ニッと口角を上げた。
「じゃあ僕からも質問させてもらうけど、君みたいな非力の子がどうやって呪霊を祓ったの?」
『・・・・?』
何のことを言ってるか分からず首を捻る。
「君、呪いは見えてるよね?フツーの人には見えないやつ。」
私は目を見開いた。
今までそんな事、誰にも話した事はないし、勿論聞かれる事も無かった。
『・・・どうしてそれを…?』
「分かっちゃうんだな〜僕、すごく目が良いから。あ、良いのは目だけじゃないよ?顔だってグッドルッキングガイ、、」
「呪いは人間の負の感情から生まれる。
その呪いの集合体が呪霊だ。
あなたがいた屋上に化け物の姿をした呪霊が現れただろ?」
家入さんが五条さんの話を遮ると、じっと私に視線を向けた。
『・・・あの、、途中から記憶がないんです、、
屋上に着いて、、ボロボロになったあかりちゃんを見つけて…。
助けなきゃって思ったら酷い頭痛がして。
・・その辺りから意識が朦朧とし始めて、、目が覚めたらここにいました。」
私は俯くと、ぐっと下唇を噛み膝の上で拳を握った。
「ん〜〜なるほどね。ちなみにこういう事ってよくあるの?
気を失って記憶飛ばしちゃう系。」
『・・・いえ、ないです。けど、、8歳の時、母を亡くした日も今回と同じような感じでした…。』
私の話しを聞いた五条さんは顎に手をあて、何か考えいるようだった。