第2章 日常が壊れる日
禍々しい空気を纏った呪霊が地面から湧きあがって出てきた。
赤黒く大きな巨体からは大きな目玉と口が浮かび上がり、
「ギーーーーーーーーーーーーー!!」
と耳に突き刺さるような咆哮を上げた。
呪霊の目玉がギョロリと動き、倒れた女を捉えると一瞬にしてその巨体に取り込んだ。
『デカいわりに動けんじゃん』
は入り口のドアにもたれ掛かり、その光景を面白そうに眺めていた。
そして視線を3人の方へ移す。
呪霊が視えていない男は夢中で腰を振っている。
『・・・醜い獣め。』
呪霊が動くより先に、地面を蹴り高く跳び上がると男の背後を取った。
『ねぇ、誰が地味で陰キャだって?』
耳元で低く囁くと、男がひぇっ⁉︎と情け無い声を出した。
そして肩越しに振り向こうとした瞬間に顔面に回し蹴りを入れた。
ドゴッ
『ゲスがふざけた事ほざくなよ。』
鈍い音と共に顔面が陥没した男は地面に転がり動かなくなった。
「ヒィッ‼︎」
携帯で撮影していた女が腰を抜かし、尻餅をついたまま青褪めた顔でを見上げている。
『あんたは化け物に、、、、って、あ。もう死んだ⁇』
「ぐふっ、、」
女は目を見開いたまま、口から大量の血を噴き出した。
呪霊の腕が刃物のように形を変え、女の腹を貫通していたのだ。
ズボッ、と腕が抜けると辺りには血が飛び散り、女はぐしゃりと地面に倒れた。
は赤く染まった自身のシャツに視線を落としながら、口の両端を上げ薄い笑みを浮かべた。
『これじゃあ明日から学校通えないじゃ〜ん。どーしてくれんのかなぁ⁇』
その時、女の血が付いた鋭い刃が今度はの顔目掛け凄い速さで伸びてきた。