第17章 揺れる。
「それなら私と来るといい。
私は家族を、仲間を守る為にこの世界を変える。
それがもうすぐ実現するんだ。
新たな世界で共に生きよう。」
顔を上げると、夏油さんは目を細めフッと微笑んだ。
その時ふと、思い出した。
少し前にも同じような場面があったな、と。
学長室で母が死んだ日の調査報告を聞いていたとき、
子供を含め、その場にいた大人が全員死に、私だけが生き残ったという話を聞いても五条先生は私を1ミリも疑わず、私の手を握り
「はやってない。」
と断言してくれた。
あの時はすごく嬉しかった…。
自分の事を信用してくれる人がいるのが側にいる、というのが凄く心強かった。
そして今、、、私の手を握ってくれてるのは夏油さんだ。
この手を握り返したら、あの日、私を信じて疑わなかった五条先生を裏切る事になるのだろうか…。
こんな私を仲間だと言ってくれた皆んなを裏切ることになってしまうんじゃないか…。