第15章 不穏
「ーーー私ならここにいる。
他の子達には手を出さないで。」
「・・・ちゃん、、何で、、?」
男がゆっくりとこちらを振り向き、私と目が合うとニヤリと口元を歪めた。
「よぉ、、久しぶりだな?」
「・・・っ、、」
男の顔は屋上で最後に見た時の顔に比べると確かに酷いものだった…。
男がした行為は絶対に許せないし、今でも思い出すだけで怒り狂いそうになる。
ーーけれど、それと同時に私も彼を傷つけてしまった…
そして今、それが原因で関係のない施設の皆んなを巻き込んでしまっている。
私はぐっ、と奥歯を噛み震えそうになる足に力を入れた。
「あれから随分探したぜ?
そういやお友達はいねーみたいだけど元気か?
あー、そーだ!わりぃ(笑)
アイツは自殺したんだったな!」
男の卑劣な言葉にピキッと額に青筋が浮かび上がる。
「ハッ、おい見たか?あの顔のどこが穏やかなんだ?
必死で怒りを抑えてんのか般若みたいな顔してんぞ?サイコーだなっ!」
ゲラゲラと下品な笑い声を上げる男に、私は感情を殺し、出来る限り冷静に振る舞った。
「・・あなたの目的は私でしょ?
私は逃げないし、抵抗もしない。
だからまず皆んなを解放してあげて。」
男の顔がスッと真顔に変わった。
「俺は3年間、保護観察処分が下されたのに、何でお前はフツーに生活してんだ?
俺にこんだけの怪我させといて何のお咎めも無いのはおかしーだろ?」
「・・・それは、、」
彼の言う事は最もだ…。
私に彼を納得させられる説明は、、、出来ない。
「だから今日はお前に罰を与えに来たんだ…。」