第15章 不穏
男の昏い瞳が私を映し、ゾクリと寒気が走った。
男は徐にみさきちゃんの拘束を解き始めた。
「そもそもガキやババアに用はねーから解放してやる。
お前はこいつら連れて2階へ行け。
ただ誰か一人でも下手な真似した時は容赦なく殺す。
こいつへの罰が終わるまで大人しくしてるんだ。
いいな?」
みさきちゃんは目に涙を溜めて私を見上げた。
私を穏やかで優しいと疑わない、その純粋で真っ直ぐな子を私は裏切り傷つけてしまった…。
私は出来る限り安心させようと口に弧を描き微笑んでみせた。
『みさきちゃん、私は大丈夫だから皆んなの事、お願いね?
・・・それと、怖い思いさせて本当にごめん、、、っ、、』
涙が込み上げ、声が上擦ってしまった。
「ちゃんっ、、、」
『・・・早苗さんの手当、お願い出来る?意識はすぐ戻る筈だから…、宜しくね?』
みさきちゃんは鼻を啜り涙を拭うと、コクッと頷き早苗を背中におぶった。
そこに下の子達も早苗さんが落ちないようにと手を伸ばし、足やお尻を支えてくれた。
パタン
2階の部屋のドアが閉まる音か僅かに聞こえ、男はニヤリと口を歪ませた。
「この時をどれだけ待った事か…。
さぁ、始めようか?」
床に転がされた私の手と足には抵抗出来ないようにと、何重にも結束バンドで絞められ、口にはガムテープを貼られている。
男が言う"罰"がどんなものかは分からないが、私はそれを受け入れる覚悟を決めていた。
・・・正直、怖くて堪らないけど、私は彼に一生消えない傷をつけてしまった…
顔にも心にも…。
だから彼が私を傷つけて気が済むなら、、、
ーーーーそれを受け入れる。