第15章 不穏
こんな時、私が携帯を持ってれば…と今更ながら反省する。
なんとか大通りまで出て、ようやくタクシーを捕まえる事が出来た。
お金、、足りるかな…。
財布の中が少々不安だが、帰りは最悪歩いて帰ろう…。
施設が近づくにつれ、緊張と不安が入り交じり手にはしっとりと汗をかいていた。
ーーーーどうか、皆んな無事でいて。
施設の近くでタクシーを降り、少し離れた場所から様子を伺うも特に変わった様子は見られない…
警察も来てないみたいだけど、、、
とりあえず正面ではなく、勝手口から入ろうと庭の端をすり抜け裏へと回った。
懐かしさが込み上げるけど、今は余韻に浸ってる場合ではない…
そっとドアノブを回し、中へと入る事が出来た。
音を立てないように屈みながら食堂の中を進んでいると、広間の方から男の声が聞こえた。