第15章 不穏
ビシッとスーツを着こなし、落ち着いた口調で丁寧な言葉遣いが大人な雰囲気を醸し出している。
五条先生にはない独特の緊張感…。
近くの木陰へと移動すると、七海さんは口を開いた。
「実は五条さんに交流戦でここを留守にする間、さんの事を頼まれてまして。」
『え?そうなんですか…?五条先生、私には何も言ってなかったのに。』
それならそうと一言声を掛けて欲しかったな、、と思い口を尖らせた。
『頼まれた、と言っても監視などの意味ではなく、周りでおかしな動きがあったらあなたを守って欲しいと言われました。
そして今、、実際には昨日からおかしな動きが頻発してまして、これは直接さんと話した方が良いと判断し、ここに来ました。」
『・・・おかしな動き、、?』
不穏な言葉に胸がざわつく。
七海さんは小さく頷き、
「現在、高専の中はかなり手薄な状態なのはご存知の通りです。
学長や五条さん、生徒達はさん以外全員京都ですからね。
そしてそれをまるで見計らったかのように昨夜から任務の依頼や呪霊による被害が都内で多発してます。
ですが、現状派遣出来る術師には限りがある為、野放し状態になっています。」
『・・・そんな、、』
「偶然にしては少々、無理がある」
『私っ、、私も任務に向かわせて下さい!
少しでも役に、、』
「いえ、駄目です。」
意を決した言葉はあっさりと切り捨てられてしまった。
私は非難するように下からぐっと七海さんを睨み上げ、
『非力なのは分かってます…けど、、こんな話を聞いてじっとなんてしてられません!』
「もしこの一連の動きが意図的だったとして、さんを外に誘い出すのが狙いだとしてでも、ですか?」