第14章 夏の終わりに。
「頼りないかもしれないけど、、僕で良ければ話し聞くし、何かあれば遠慮なく言って欲しいな。」
憂太君の優しい言葉がじんわりと胸の内に沁み渡り、心の奥底で秘めていた感情が揺さぶられる。
そして傲慢な私はもっと彼を独り占めしたい、と心の隅で思ってしまう。
『・・・憂太君は優しいね。皆んなに、、
分け隔てなく優しい…。』
「そんな事、、」
私は顔を上げると、憂太君の綺麗な瞳を見つめた。
『でも、その優しさが今は辛いかも…。
もう大事な人を失いたくないから、、これ以上踏み込まないで欲しい。
じゃないと、、どんどん気持ちが大きくなる…』
「え、、、?」
憂太君の手が揺れ、ポタッと火玉が地面に落ち、それに続くように私の線香花火も燃え尽きた。
暗闇の中、お互いの視線が重なった、、
けれど、憂太君の指に嵌められた指輪がキラリと光り、私はすぐに視線を外した。
ーーー私、、何言ってるんだろう…!
その場でバッと立ち上がり、
『ごめんねっ、変な事言って、、忘れて…?
・・・私、他の花火貰ってくるね!』
気まずい空気を誤魔化すように憂太君に背を向け、大量の花火が置いてある所へそそくさと逃げて来た。