第14章 夏の終わりに。
食堂に着くと既に真希さん、その向かいには何故かアルミのバケツを持ったパンダ君が座っていた。
「お、来たな?!飯食ったら外、行くゾ?」
「・・・外?もう暗くなるよ?」
首を傾ける私に、真希さんが笑った。
「だからだよっ!皆んなで花火すんぞ‼︎」
「花火…?えっ⁉︎花火⁇」
思わず目を輝かせると、
「お?想像以上の反応だなっ!やっぱ夏といえば花火だよな?」
「うん、そうだよね!
・・実は施設にいた頃、毎年夏の終わりに皆んなで花火をしてたの。
今年からは出来ないんだなぁって思ってたから、、、嬉しいなって…。」
思わず俯く私の背中を真希さんがバシッと叩いた。
「じゃあ今年からはうちらと花火すりゃーいいだろっ?
来年も再来年も付き合ってやるよ。」
「真希さん…」
真希さんの優しさに、鼻の奥がツンと痛んだ。
明日死ぬかもしれない、死と隣り合わせの術師に未来の約束なんて何の意味も持たない。
ーーーそれでもこの約束が、こんな弱い私を仲間だと、この先も皆んなと一緒にいて良いんだと言ってくれてるようで、ただ嬉しかった…。