第13章 表と裏
憂太side
あの日から3日。
さんの意識は未だ戻らない。
「ーーじゃあ、頼んだよ。何かあれば携帯に連絡して?」
「はい、わかりました…。」
家入さんから医務室の鍵を受け取り、軽く頭を下げる。
「・・・私が言っても説得力はないが、ちゃんと睡眠はとりなさい。
酷い顔、してるぞ?」
「はは…五条先生にも言われました。」
苦笑いを浮かべ、誤魔化す様に頭を掻いた。
「心配なのは分かるが、君達の資本は身体なんだ。
それにこれ以上仕事を増やされても困るからな。
・・・ほどほどにしてしっかり休め。」
そう言い残し、家入さんは静かに医務室を出て行った。
もともと、眠りは浅く、万年睡眠不足気味ではあるけれど、ここ2日はろくに寝れていない…。
さんが医務室に運ばれた日は、皆んなで夜中まで付き添っていたけど、さすがに家入さんに怒られ途中で寮に戻った。
昨日は真希さんが付き添ってくれたけど、夜中に何度も目が覚め、その度に携帯をチェックし、真希さんからの連絡がないか確認していた。
任務やトレーニングで体は疲れている筈なのに、すぐには寝付けず、無理矢理目を閉じても浮かんでくるのは血に塗れたさんの顔、昏い表情だった。
パチンと明かりを消し、ベッドの脇にあるパイプ椅子に腰を下ろした。
窓からは月明かりが差し込み、さんの青白い顔を照らしている。