第13章 表と裏
"、いい加減目を覚ませよ"
ーー何故?
もうこのまま眠っていたいの。
このまま目を覚まさなければ私も死ねるでしょ?
"ーーー死ねる?随分、勝手なんだな。"
ーー勝手?私が?
あの時、あなたが傷を治さなければ私は死ねたのに。
勝手なのはあなたじゃない。
"ーー忘れたのか?
母親が最期に遺した言葉を。"
・・・お母さんが遺した言葉・・?
"生きろ、と。は生きて、と最期に遺した筈だ。
それに母親だけじゃない。
自殺した友達の分まで生きる、と約束したんじゃないのか?"
・・・・私はあなたみたいに強くない。
術師として頑張ろうとも思った、、、、
けど実際、私は無力で何も出来ないし、誰も救えない…。
足を引っ張って、周りを、皆んなを危険に晒してしまうだけ。
生きてたって何の役にも立たないじゃない…
"いいか?私を創ったのはだ。
幼い頃、虐待を受け、母親を守りたい一心で別人格の私を創ったんだ。
つまり私は自身そのものだ。"
ーーー私が創った、、、?あなたを⁇
"そうだ。
謂わばコインの表と裏のようなもの。
お前は子供の頃から気が弱く臆病者だった。
だから真逆の私を創り上げ、自分の力ではどうしようもない時、誰かを守らなければいけない時に私と入れ替わった。
私がしゃしゃり出たワケじゃない、お前の潜在意識がそうしたんだ。"
ーーーじゃあ何故記憶がないの?
"表と裏、両方は成り立たない。
裏が上になっている時、表は下を向いているだろ?
どちらも上を向く事は出来ない。
けれど…それは今日までの話だ。
呪力も術式も全部、お前自身に刻んだ。
私はずっとその力はの為だけに使ってきた。
けど、お前は何の為に、誰の為に使うかは自分で決めるんだ"