第13章 表と裏
高専 ーーー医務室ーーー
「ただいま〜〜‼︎
いやぁ、僕がいない間、大変だったみたいだね〜!」
毎度の事ながらノックもせず堂々と入って来る五条に家入はため息を漏らした。
「・・・普通に入って来れないのか?」
家入は顎でクイッとベッドを指した。
そこには青白い顔をしたが眠っていて、腕には点滴の管が繋がれている。
「ーーー状態は?」
「今日で3日目。
どこにも異常は無いはずなのに意識が戻らない。
・・・・そっちは?上の連中と話し、つけてきたんだろ?」
五条はどかっと椅子に腰を下ろし盛大なため息を吐いた。
「アイツらが反転術式を使えると分かった途端、手の平を返してきたよ。
正式に入学を認めるってさ。」
「はっ、とんだ手の平返しだな。」
「全く浅はかな連中だよ、つい最近までは何かと理由つけて追い出そうとしてた老害どもが。
これだから歳は取りたくないね〜。」
ヤレヤレと肩を竦める五条を家入は一瞥すると、
「この子の意識が戻ったとして、術師を続けさせるのは酷なんじゃないか?
真面目で正義感の強い生徒ほど危ういものを抱えてる・・・。
それはよく分かってるだろ?」
「・・・あぁ、分かってるよ。」
家入は目を伏せ髪を掻き上げた。
「まぁ、、でも彼女は仲間に恵まれたようだけどね。
意識を失った日から毎晩、誰かしらここに泊まってるんだ。いつ目を覚ますか分からないからって。
お陰でこっちは助かるけどね。」
「へ〜〜。
あの反抗期真っ只中の子達がね〜。
まっ、賑やかなのが側にいればもそのうち目を覚ますでしょ。
それまでは頼んだよ。」
手をひらひらと振り、医務室を出て行こうとする五条に、家入は「あぁ。」と短く返した。