第2章 日常が壊れる日
誰と挨拶をする訳でもなく、俯きがちに歩き窓際の席に着くと周りが何やらざわついている事に気づいた。
鞄から教科書を出しながら耳を傾けると、
「部活中に2人が行方不明だって!マジ怖くない⁈」
「えー?でもそれってただのサボりじゃなくて?」
「いや〜だってサッカー部の顧問てめっちゃ怖いじゃん!さすがに練習中にばっくれないでしょ?その後の方が怖いし。」
・・・行方不明?
学校でそんな事があるのだろうか…。
にわかに信じがたい話をするクラスメイトを一瞥し、私はぼんやりと窓の外を眺めた。
灰色の雲がさらに黒さを増し、ポツポツと大粒の雨が振り始めていた。