第12章 幻覚か現実か。
憂太side
嫌な汗が背中を流れる。
さんは今問題を起こしたら高専を退学になる。
いや、、退学だけじゃ済まないかもしれない…
最悪、僕と同じ…秘匿死刑。
緊張感が張り詰める中、
「たっ、、頼むっ‼︎殺さないでくれっ‼︎」
『・・・ーーー。』
薄暗い地下駐車場に響く男の叫び声と聞き覚えのある声…。
だけど恐らく今はさんであってさんではない筈、、、
早く彼女を止めないと…‼︎
声が聞こえた方へと足を進めて行くと、一台の黒いバンが目をとまった。
そのバンの傍には担架に乗せられた遺体、
その下には男がうつ伏せで倒れていてすでに意識はないように見える。
「すじこ、こんぶ、明太子、、、」
狗巻君が襟のチャックを下ろし、隠していた口元を露にした。
その時、
「っ‼︎お前何してんだっ⁉︎」
運転席側の方へ回った真希さんの声に、僕と狗巻君はアイコンタクトをとるとすぐに反対側へと周り込んだ。
そこにいたのは…
地面に倒れている男に馬乗りになり、首元にナイフを突きつけているさんがいた。