第12章 幻覚か現実か。
『や、、、やめて、、、、‼︎』
気付けば私の足元には真っ赤な血の海が出来ていて、そこには血塗れのあかりちゃんとそれに重なる様に早苗さんが倒れている。
『ひっ、、、』
腰が抜け、血溜まりにビチャッと尻餅をつき、涙と鼻水でぐちょぐちょになりながら首を横に振った。
や、、やめて…1人にしないで…
そして目の前では人型の呪霊に真希さんが足を掴まれ、思い切り地面に叩きつけられた。
骨が砕かれる音が聞こえ、私はガタガタと震えながら耳を塞いだ。
その呪霊は腰が抜けた私を見つけると、ニタリと不気味な笑みを浮かべながら近づいて来た。
『い、、いやっ、、、』
そして呪霊は私の目の前に立ちはだかると、手にしていたナイフを思い切り振りかざした。
ぎゅっと目を瞑り、死を覚悟した瞬間…
ーーーーーー⁇
突然、温かい感触に包まれた。
恐る恐る目を開けると、
『ーーーーー憂太、、くんっ⁇⁈』
私は憂太君の胸に閉じ込められていた。
「よ、良かった、、間に合った、、、」
いつもの様に、眉尻を下げて笑う憂太君。
けれど、、、
カハッ
憂太くんは口から大量の血を吐き、私の顔と服が赤く染まっていく。
『ゆ、、、ゆう、、た、くん、、?』
「ーーさんは、、生きて、、、」
耳元で囁かれた言葉は儚く消えていく…
『いや、、死なないで、、、お願い、、、』
ザクッザクッザクッ
憂太君の背後で呪霊は尚もナイフを振り上げる。
『誰かっ、、助けて、、、』
涙なのか、血なのか最早分からない程ぐちゃぐちゃの顔で助けを求めると…
「。」
聞き覚えのある声がし、振り向くとそこには五条先生が立っていた。
『・・・せんせい、、、?』
けれど五条先生の雰囲気はいつものとは違い、アイマスクをしていても冷めた視線で見下ろされているのがわかる程冷たく感じた。
「もういいよ。お前みたいな役立たずは高専には必要ない、ただの足手纏いだ。」
涙が次々と溢れ出てくる。
「術師、失格だよ。もう2度とその顔、見せないでね?」
そう言い放ち、五条先生は背を向けて行ってしまう。
友人は死に、仲間も死んだ。
先生には見放されーーーー
ーーーーーー私は1人になった。