第12章 幻覚か現実か。
私の言葉に笑みを浮かべていた男の眉がピクリと動いた。
「・・・君、呪術師か。」
ビリッ
間違いない。
さっき感じた呪力と同じものを目の前の男から感じた。
この人達も呪術師だ。
バク、バク、、と心臓の音が早くなる…
怒りで全身の毛が逆立つような感覚に襲われるがここで正気を失う訳にはいかない。
『・・・あかりちゃんをどうするつもり?』
「世の中には知らない方が良い事もあるんだよ。」
男達は顔を見合わせアイコンタクトを取ると、1人の男が徐にポケットからタバコのような物を取り出し口に咥えた。
な、、何⁇
咄嗟に身構えると、男はフゥ〜と息を吐き、口から白い煙を大量に出した。
『コホッ、、』
あっという間に部屋中が白い煙で覆われ、むせ返るような甘い匂いが立ち込める。
な、何、、コレ、、、⁉︎
ただの煙じゃない…⁈
これは、、、、
ーーーー術式⁇
咄嗟に腕で鼻と口を覆うが、すでに足に力が入らなくなり、ガクッと膝から崩れ落ちてしまう。
『こほっ、、、』
やばい、、、
このままじゃあかりちゃんを連れて行かれちゃう…‼︎
男は私が動けない事を確認するとフッと鼻で笑い、もう1人の男に指示を出した。
「おい、早く遺体を運べ。奥の通路から地下駐車場に出れる。
俺はこっちを始末したら行く。」
「はいっ」
もう1人の男はガラガラと担架を押し、霊安室から出て行ってしまった。
『くっ、、‼︎ま、、、待って、、、‼︎』
壁に手をつきながら何とか立ち上がり後を追おうとした時、扉の前に男が立ち塞がった。