第12章 幻覚か現実か。
『早苗さんっ‼︎』
大きな声で呼ぶも反応が無く、
慌てて駆け寄りそっと肩を揺すった。
『・・・え、、寝てる…?』
早苗さんはスースー、、と寝息を立てて眠っていた。
ーーーーおかしい。
さっきまであんなに泣いて悲しんでいた人がこんな所で居眠りをするだろうか…。
その時、ガタンッと霊安室の中から物音が聞こえた。
⁈ーーー誰か中にいるっ⁇
私は早苗さんをそっと横たわらせ、霊安室の扉の前に立った。
緊張感と恐怖心からか、震える手を扉に掛けると勢いよく開けた。
すると目の前には黒いスーツ姿の男性が2人がかりであかりちゃんの遺体を担ぎ担架に移し替えていた。
『なっ、、何をしてるんですか…?』
一人の男性がスッと担架の前に立ち、貼り付けた様な笑みを浮かべる。
「これから火葬場へと運ばせて頂きます。
えーっと、、ご家族の方でしょうか?」
『・・・いえ、違いますけど、、、』
そう返しながらふと部屋の隅に視線を向けると、女性が倒れている事に気づいた。
あの人はさっき私と早苗さんを霊安室の中へ案内してくれたスタッフの人⁈
『・・・あなた達、誰?あかりちゃんから離れて。』
私は眉を顰め男を睨み上げた。