第11章 再会
『・・・ッ‼︎』
長髪に切長の目元、見覚えのある袈裟…
何度も夢に出て来た人物が今、目の前に現れたのだ。
「具合が悪そうだ。大丈夫かい?」
この声も…同じ…。
「ふふっ、そんなに見つめられたら穴が開きそうだ。
その表情からして、私の事覚えていてくれたみたいだね。」
優しく細められた瞳で顔を覗き込まれる。
『・・・ど、どうして、、ここに?』
「術師をしていればまた会える、と言っただろう?
ーーー君に会いに来たんだよ。」
『私に…⁇』
その人はフッと笑い頷いた。
「うーん、それにしても顔色が悪いね?少し外の空気を吸いながら話しをしようか?」
『・・・い、いえ、、友達がロビーで待ってるので…』
私がエレベーターのボタンに手を伸ばそうとした時、後ろから伸びてきた手がそれを阻み、ピッと2階のボタンを押した。
『ちょっ、、』
振り向くと、思いの外至近距離に顔があり、私は慌てて前を向き直る。
「今にも倒れそうな顔で友達の元へ戻ったら逆に心配を掛けてしまうんじゃないかな?
中庭に出て気分転換をしてから戻ればいい。」
甘く囁くような口調に、私の意思はぐらりと揺らいでしまう。
『・・・・少ししたら戻りますから…』
普段の私ならこう言う場合、絶対に着いて行く性格ではないのに、不思議とこの人と同じ空間にいるのは嫌ではなかった…。
むしろこの夏油傑という人物に興味が湧いていた。