第11章 再会
2人だけになり、早苗さんのすすり泣く声がフロアに響く。
「・・・ごめんね、いい歳して情け無いね。」
『ううん。これ…読んでもいいですか?』
「勿論。…の事も書いてあるわ。」
『え、、、?』
長椅子に腰を下ろし、震える手で折り畳まれた紙を広げる。
あかりちゃんの少し癖のある丸い字…
それを見ただけで読む前から鼻の奥がツンと痛くなる。
紙は2枚あり、まず1枚目に目を通した。
怖い。
身体が治っていくのが怖い。
退院したくない、外に出たくない。
こんな顔、誰にも見せたくない。
こんなブスな顔じゃもう笑えない。
怖い怖い怖い怖い
男も女も みんな怖い
誰にも会いたくない。
もう、、消えたい。
カタカタと震える手で紙をめくり、2枚目に目を通す…
早苗さん
会いに来てくれたのに、追い払ってごめんね。本当は嬉しかった。
最後まで我儘ばっかりでごめんなさい。
それとありがとう。
が施設に来てから毎日楽しかったよ。
もっと一緒に居たかった。
けど、こんな弱い私を許して。
直接言いたかったけど、あの日、助けに来てくれてありがとう。
ずっと、大好きだよ。
2枚目を読み終えた私は何も言葉に出来ず、ただじっとあかりちゃんが遺した手紙を握りしめていた。
「あの日の怪我、、顔に大きな傷が残っちゃってね、歯も折れてたし…。
あかりは昔から人一倍容姿を気にする所あったから、それが精神的ダメージに更に追い討ちを掛けたのかもしれない…。」
怒りなのか、悲しみからなのか、、
震える私の手を早苗さんがぎゅっと握りしめてくれた。
「それはあなたが持っていなさい。あかりの分まで幸せになって?」
奥歯をぐっと噛み締め、小さく頷いた。
ーーーーそれから私と早苗さんはあかりちゃんと最期の対面を果たした。