第2章 日常が壊れる日
昇降口に着き、下駄箱から上履きを取り出し履き替えようとしていた時、
「はっ⁈・・っざけんなっ!」
隣のクラスの下駄箱の前であかりちゃんが声を上げた。
近くにいた生徒達がチラチラと視線を向ける中、何かあったのかとあかりちゃんの側へ駆け寄った。
『どうかした?』
固まったままのあかりちゃんの横から下駄箱の中を覗くと、思わず目を見開いた。
『・・・何、コレ…』
あかりちゃんの上履きには油性マジックで"尻軽""ビッチ""セフレ募集中♡"
など酷い言葉がいくつも書かれていた。
「中学生かよっ!陰湿過ぎてキモいわ‼︎」
あかりちゃんは上履きを手に取ると近くにあったゴミ箱に思いっきり投げつけた。
その迫力に周りは私達を避けるようにして足早に校舎内に入って行く。
『あかりちゃん、これって…』
「またどーせひがみでしょ?先週出来た彼氏、結構モテる先輩だから。
とっかえひっかえ新しい彼氏つくんのが面白くないんだよ。
つーか高校になってもこんなしょーもない事するヤツいるんだね?笑える〜。」
そう言って鼻で笑うあかりちゃんの横顔は傷ついているように見えた。