第9章 【呪術廻戦】0軸の短編(世界融合設定8)
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その夜。
遅くに帰宅した五条さんに、寝ているところを起こされた。
珍しく険しい雰囲気の五条さんに内心…いや、思いきりガタブルしつつ震える声で「…ど、どうしたんですか…」と問えば、息を呑んだ後ごめんと小さく謝られて五条さんの纏う空気が落ち着いた。
それから聞きたいことがあると言われ頷いた。
今日は誰と会ったか。
何を話したのか。
何かされたりはしたか。
他にも色々。
細かく質問される内容にひとつひとつ、ゆっくりと丁寧に思い出しながら答えていく。
それを聞く五条さんはいつもの目隠しをしていて、表情はわからない。
ただ、私の話を聞く姿はいつもと違ってとても静かだ。
全て終わると少し考える様子を見せてから、五条さんがふっと小さく口元だけで笑った。
「眠ってるとこ起こしてごめんね」
「いえ、大丈夫です」
そのまま何故か五条さんは黙ったまま、私に宛がわれた部屋を出ていくこともなく。
静かな部屋の中で身動ぎすると、二人分の体重を支えるベッドの軋む音が妙に響いて聞こえた。
五条さん、どうしたんだろう…私、なにかやらかした、のかな…?
気まずい。さすがにずっとこのままは無理。
そう思っていた私の耳が、かすかに何か声を拾った気がして五条さんに目を向ける。
と、五条さんはこちらを見ていて…そして口を開く。
「あいつ……傑、元気そうだった?」
なんでもないような、いつもと同じ声音。
「え、ああ、そうですね。元気そうではありました」
「そっか」
「はい」
なんなんだろう、この人は。この人たちは。
どうなっているんだ。
お互いこんなに気にし合っているのに…どんな事情があるというんだろう…。
うーんモヤモヤする……でも、完全に無関係で部外者な私が聞けることでもない気がする。雰囲気的に。
帰ってきてすぐの五条さん、ものすごく…有りえないくらい怖かったしなぁ…。
呪霊とはまた違った意味で震えが止まらなかった。思い出すだけで鳥肌立つような気がする。
今はなんか、なんというか…こんなんなのに。