第9章 【呪術廻戦】0軸の短編(世界融合設定8)
「…ふっ、君は子供みたいな人だね。悟と気が合いそうだ」
「…それって褒めてます?それとも貶してます?」
「どっちもかな」
考えるそぶりもなく、にこやかに即答する夏油さんにちょっと衝撃をうける。
ああこの人しっかり五条さんのお友達ですね。
いい性格していらっしゃる。
「ああ、すまない。気に障ってしまったかな」
「…いえ」
ちょっとショックだっただけです。
にこやかな分、言葉の鋭さがえぐいなんて。
「悪気はなかったんだ」
ええ、そうでしょうとも。
悪意のない本音が痛い。
「悟とお似合いだと思ってね」
…お似合い?あの五条さんと?
見た目なわけはないから当然中身ということで。
あの五条さんの性格とお似合いな性格って…
「…あんまり嬉しくないです」
「ふふっ、悟が聞いたら泣くよ」
「泣きませんよ…」
泣き真似はするかもしれませんけどね。
少し前の気まずい空気が嘘のように消し飛んだ空間で、にこにこと笑う夏油さんを見てやっぱりなんとも言えない気分になる。
五条さんたちのこと、大切って言ってたのに…今もこんなに楽しそうに五条さんのことを口にするのに…友達じゃない、のかなぁ…。
でも何を知ってるわけでも分かっているわけでもない部外者の私が言えることなんて、なくて。
やがてコーヒーカップとジュースのグラスを空にすると、夏油さんの「そろそろ出ようか」という一言でお開きとなった。
店を出ると外はすっかり暮れていて、少し遠くに見える家や車の灯りが目に眩しい。
「どうも、ごちそうさまでした」
「どういたしまして。こちらこそ、こんな時間まで付き合わせてしまって悪かったね」
「いえ、五条さんのやんちゃ話とか聞けて面白かったです」
「私が話したってことは悟には秘密だよ?」
夏油さんが高い背をかがめて、こちらを覗き込むような姿勢で片目を瞑って見せる。
笑みを形どる口元には人差し指を当てて。
やる人がやれば気持ち悪いキザなポーズなのに、かっこいいってすごい。
すごく似合う。慣れてるなこの人。