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【呪術・その他】ネタ・短編詰め合わせ

第9章 【呪術廻戦】0軸の短編(世界融合設定8)




「大丈夫かい?」


優しい声が聞こえ涙目でそちらを見れば、変わらず向かいにいる夏油さんの眉が心配そうに歪んでいる。

うわー…あらためてしっかり見ると、やっぱりこの人かっこいいなぁ。

細い切れ長の瞳が何とも言えない、涼やかなイケメンって感じだ。


「…さん?」

「っ、げほ、すみません、大丈夫です」


いやー、五条さんとはまた違う魅力につい見惚れてしまった。

目元に滲んだ涙を拭い、背中までさすってもらっちゃって悪いなぁ優しいなぁなんて思ったところで気づく。

…あれ?夏油さん向こうにいるよね。

向こう側から私の背中まで、近寄ってもいないのに手が届くわけはない。

え、じゃあさっきの…背中に触れていたのは…誰の……?

瞬間、背筋を悪寒がぞぞぞっと駆け上がる。

待って待って待って怖い怖い怖いっ。

思わず助けを求めるように夏油さんを見る。

私の顔色はきっと真っ青に違いない。

しかし夏油さんは笑った。とても穏やかに。私の背後を指さして。


「ソレ、見えるかい?」


ソレ。見たくない。

見たくないのに見ないとこのまま逃げることも出来ないのだろうことがわかる。

絶対にきっと、向かいで笑みを浮かべるこの人は逃がしてくれない。

ううう怖いよぉう後ろ見たくないぃ…!!

再び涙が滲んでくるのを感じながら、ゆっくりゆっくりと後ろを振り返る。


「ひっ…!!」


思ったより近かった。

ある日突然あちこちで見るようになったソレ。

五条さんが呪霊だと教えてくれたソレが、振り返った私のすぐ目の前で蠢いている。

ひいいいいいいっっ!!!!!


「ちゃんと見えているようだね。よかった」


ぴきーんと固まった私の耳に聞こえる夏油さんの声。

それから肩をぽんと叩かれ、泣きそうになりながらそちらを見る。


「げと、さん…」

「大丈夫だよ。これは君を傷つけない」


横に立ちかがむ夏油さんがそう言うと呪霊は何故か彼の方へ向かい、しゅるしゅると消えてしまった。

え、なに、なんで?

目をぱちぱち瞬かせ、夏油さんを見上げる。
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