【降谷零】SPARK × PUNK【名探偵コナン】
第4章 「元整備士」×「マスタングGT500」
「ルルちゃんとアリスちゃんペア、リシャール三本目入りました〜!」
最初は店長も店のナンバーワンがペア指名しか取らないことに不満を抱えながら渋々送り出してはいたが、今では黒服さん達の背中をバンバンと叩くくらい上機嫌だ。
証拠に、私もルルちゃんもペア指名オンリーのはずが売上は今月一の盛り上がりを見せている。接客方法が正反対の私達、まるで太陽と月。最初は大丈夫かと私も思っていたが、どうやら余計な心配だったようだ。
「僕ずっとルルちゃん推しだったけど、アリスちゃんもいいねぇ~」
「ダメですよ、アリスちゃんはルルのイチオシなんですから!」
それにそのおかげか、今までルルちゃんを本指名していた人達が、これをきっかけに目移りしたお客様も少なくない。売り上げを競うキャバクラでは間違いなく一足即発の状態になりかねないが、お客様から匂わせられても私と同様あまりしつこくない態度からあまり順位は気にしていない様子だった。
そしてあの一件のこともあってか、今日は何故かお客様を二人で囲むのではなく、お客様、私、ルルちゃんと言った並びに位置が固定してあり、ルルちゃんは常に私を挟んでお客様と会話をしている。それに指名客がチェックを済ませるまで、私の手をギュッと握って離さななかった。
一時間後、いつも通り指名客を二人揃って見送ればすぐさままたペア指名が入る。恐るべきナンバーワンの力。ルルちゃんはひとりで毎日これをこなしているのかと思うと気が引ける。休んでいる暇なんてこれっぽっちもない。
今まで偏見であんまりいい目では見ていなかったけど、これも立派な仕事なんだと実感する。
そんなことを思いながら、ペア指名のあった席へ二人で向かう。そこにはあの時、初回フリーなしの本指名で私にリシャールを入れたあの男性、金子秀也さんがいた。