【降谷零】SPARK × PUNK【名探偵コナン】
第3章 「元整備士」×「スバル360」
それと同時に三発目の銃声が響く。先にトリガーを引いたのは私。
ひき逃げ犯の持っていた拳銃へと発砲した二発の弾丸が当たった衝撃で犯人の手から拳銃がこぼれ落ちる。それと同時にもう一発は犯人から拳銃遠ざける為に放った弾丸が宙を舞う拳銃を捕らえ犯人の持っていた銃はあっという間にメートル先へと離れ落ちた。
その拳銃がすでに落ちる前に確信していた私はすでに手早く持っていた拳銃をしまいフルフェイスのシールドを上げていた。
その拳銃を犯人が拾う暇もなく呆気に取られている間、私は隙を付いて組み付き取り押さえるがまだ警察は来ていない。
「動くな、ただでさえ力強いんだから」
全身の体重をかけて押さえていてもなお、藻掻き逃れようとする犯人。これじゃ隙をついて逃げられる可能性が高く手錠もかけられない。
誰かいないかと私はちょうどまだ声の届く範囲にいた茶髪の女性に声をかける。
「すみません、近くの交番で警察呼んでもらってもいいですか! いなかったら誰でもいいです! 男の人呼んでください!」
運悪く時刻は平日のお昼の時間を丁度過ぎた頃、車や歩行者が少なくて助かったけどそれがまさか逆目に出るとは思わなかった。
そう伝えれば女性は「は、ハイ!!」と、返事をして一目散にその場から駆けて行った。
ビリビリッ――
やけに聞き覚えのあるマジックテープの音がした。
音のした方へ視線を向ければ取り押さえていた犯人が口で私の身に付けていたグローブのマジックテープを剥がしていた。
次の瞬間、再び藻掻き押し返されグッと力を入れた瞬間、緩んだグローブがズレる。
「………ッ!?」
結果私は犯人に押し返され蹴飛ばされる。前にもあった気がする、こんなこと。
このあと一歩で、いっつも手に届かない嫌なこの感じ。
蹴飛ばされた瞬間、咄嗟に腕で受け身を取ったせいで犯人からは逃げら逃げられてしまう。やられた。まさかそんな、またこんなことが――私は思わず舌打ちをした。
身に付けていたグローブをその場に脱ぎ捨てて歩道の曲がり角を曲がっていく犯人を追う前に道路に転がっている犯人の拳銃を拾い上げてすぐさま後を追う。
すると曲がり角に差し掛かったところで私はピタリと脚を止めた。