• テキストサイズ

【降谷零】SPARK × PUNK【名探偵コナン】

第1章 「整備士」×「RX-7」



家族構成、父の宮下修造、元CAの日本人の母、そして娘の私。父は『機内で一目ぼれした』と鼻の下を伸ばしながら話していた。
仕事の影響でよくイギリスと日本を行き来する為、空港関係者の人達は『いつもすごい荷物を持って帰って来る人』と認知されていたらしいが、実際父は空港関係者は当時同級生だった知人のパイロットとCA母のことしか覚えてないと言う。聞いてもないのに何十回も聞かされるものだから気づけば自然と覚えてしまった。
父の一家は代々江戸時代から受け継がれる人力車専用の整備施設だったと、幼い頃古びたモノクロの写真を見せながら母はそう私に教えてくれた。

父は工業高校を卒業した後すぐにイギリスへと留学、知的で社交的で日本人の割に長身なこともあってか、父にとってこの道が大きく華を咲かせることになった。人脈、知識、技術、経験、実績。父のおかげで、時代の流れに追い付けず衰え始めていたうちの整備施設は十分すぎる成長を成し遂げた。

自転車にバイク、自動車はもちろん一般の整備施設では扱えないような外車や高級車のメンテナンスに修理、勿論海外製のバイクやスポーツカー、競技用の自転車だって取り扱える数少ない施設でもあり、国内では入手困難な部品や海外でしか流通がないワックスや塗装がここでは入手が可能で、指定の製品が欲しいと希望があれば代わりに買い付ける。と言っても私自身が買い付けに行っているわけではなく、海外にいる友人や父の知人を通して頼み協力してもらっている。もちろん対価も払っているしお互いにwin-winの関係だ。
その代わり購入者への料金は輸送費もあってそれなりに跳ね上がるが「ロマンだ」「恋人だ」「相棒だ」とか言ってバッサリと札束を切り出してくる人が大半。今やお偉いさんやお金持ちにコレクターやマニアの人御用達の整備施設と言っても過言ではない。風の噂ではそう通っているらしい。

お金では決して買うことの出来ない〝繋がり〟という方法を残してくれた父と母のおかげで、私はなんとかここを引き継ぐことが出来た。約一年間の突然の休業から営業の再開、父が記録していたお客さんの名簿とデータを引っ張り出しては片っ端から謝罪と営業の電話を寝る暇を惜しんで繰り返した。
/ 167ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp