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【降谷零】SPARK × PUNK【名探偵コナン】

第2章 「公安警察」×「整備士」


〝『できた』〟

あの日から二十日三時間三十四分を過ぎた頃、宮下から来た連絡はいつもの電話ではなくメールだった。そのメールに『今行く』と手短にメールを打ち送信する。
セーフハウスからタクシーで宮下の自宅まで高速道路を使って移動してから約三十分、以前とは違い自宅に明かりは付いておらず、代わりに隣のガレージからシャッター横にある扉の窓から暖色の明かりが漏れていた。そのドアノブに手をかけ中へと入るとそこに彼女は居らず、入った瞬間ガソリンと錆びた鉄の匂いが鼻を通った。そして目の前にあるのは見違えるように綺麗に修復された愛車のRX-7があるだけ。

もう寝てしまっただろうか。そう思いながら近くの台に置いてあった愛車のキーを見つけ取りに向かうと車の背後から何かが顔を出した。
それは皮手袋をはめた宮下の手の甲がベッタリとコンクリートの床に張り付き、周りには見慣れた黒光りした液体が広がっている。

ひゅっと、大量の酸素が喉が喉を通った。なぜかドクドクと心臓がうるさい。最悪の状態が脳裏をよぎり、まるで心臓を握り潰されたような息苦しいこの感じ、また味わうことになるなんて思いもしなかった。
咄嗟に車の背後へと回るとそこには思っていた通りぐったりとその場で倒れ込む宮下がいた。さらに息が苦しくなるのが自分でも分かった。

焦るな、まずは確認しろ。現状の把握が先だ。

焦り始めている自分にそう言い聞かせながら宮下の手首をそっと持ち上げ皮手袋を外した。温かい。それに脈も正常だ。
ならなぜ――そこで俺はハッとなった。

宮下のそばにあったのは開けっ放しのワックス缶と水の入ったペットボトルに倒れた小さなバケツと数枚の布の切れ端。おそらく、俺が血だと勘違いしていたのは倒れたバケツによって広がった小さな水溜まりだったようだ。
蛍光灯の反射と床がコンクリートのせいで濡れた時普段のグレーよりも濃くなったのを咄嗟に脳が血液だと勘違いしてしまったらしい。
我ながら馬鹿なことをした。自分に呆れる。最近寝れてないからか?
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