【降谷零】SPARK × PUNK【名探偵コナン】
第6章 「元整備士」×「コルベットC7」
ひとまず中身を空けようと伝票で品目を確認する。
モノによっては開け方によってモノを傷つけたりすることも少なくない。昔の私は届いた瞬間カッターで引き裂いて開けていたから当初は酷い目に合った今ではいい経験だ。
「部品………メキシコ…?」
そんな国から輸入なんてしてたっけ。
持っていた段ボールを玄関前の廊下にゆっくりと下ろし、自身の記憶をたどりながら玄関前の腰道具から比較的先端が鋭利なモノを選びぐるぐるにまかれていたテープを段ボールの溝に合わせて少しずつ切り取った。
中に少し空洞があることを確認しグッと力を入れて引くが、刃物は滑らかに通らずバリバリと音を立ててる。それを何回も繰り返せばやっとの思いでまかれていたテープが切れ段ボールの蓋を開け中を覗き込む。
中には黒いビニール袋と白い梱包材の粒が敷き詰められている。その袋をまたピッと引き裂けば中から隙間から無数のコードが見える。
全体を見ようと黒のビニール袋を左右に両手で広げると出てきたのは黒い光沢筒が5つ、大量のコードに繋がれており、すぐそばには安っぽい小型のセンサーらしきもの。
何かのエンジンの部品か資源だろうか。それかカーナビの接続部品…なんてことを考えていると、突然家の警報が鳴り出した。
「なっ、何……」
ビーッ、ビーッ、ビーッ、と鳴り出した警報は火災報知機ではない。
スマートキーと車から常に出る微弱な電波を利用ししたり、施錠・始動方式を悪用して高級車を盗む車やバイクの盗難防止用に昔父が独自に設置した盗難防止センサー。
それが突然家中に鳴り出したのだ。
特定の電波や赤外線信号でしか反応しない警報だ。
うちでも数多くの利用者がいるが誤報したといった問い合わせは一度もない。常連の方からもお墨付きを頂いているくらい優秀な防犯セキュリティシステムなんだから。
まさか…真昼間から盗難?
世も末だ、やっぱりこの国は普通じゃない。それに、人目がいないからと言って私の家の車を標的にしようと考えたのが運の尽きかな。
そう呆れ果てながら、膝に手を置いてゆっくりと立ち上がる。
すると目に入ったのはさっきまで光っていなかった、安っぽい小型のセンサーが赤く点滅していた。このセンサーも謝って反応してしまっているのかもしれない。
しかしその点滅がだんだん早くなっていることに気づいたのは、少し後のことだった。