第11章 揺れる
「えっ、またFAXが送られてきた?!」
「はい。ただ内容が前回のとは少し違うようで、例の連続爆弾犯じゃないかって……」
報告をしに来てくれた青柳の話を最後まで聞かずに、私は捜査一課のフロアまで駆け出した。
庁内はFAXの件で騒がしくなっている。
行き交う人々のこめかみには汗が滲んでおり、事の重大さを否が応でも痛感した。
「目暮警部っ!!!」
「君?!」
「例のFAXが送られてきたそうですけど、それってまさか……」
「ああ、今佐藤君から連絡が来たよ。7年前と3年前の爆弾犯に間違いないそうだ。
それと、白鳥くんが爆発に巻き込まれてね…今救急車で病院に搬送されたそうだよ」
白鳥君が…爆発に巻き込まれた……?!
「無事なんですか?!」
「意識はあったようだが、急性硬膜下血腫でかなり危険な状態だそうだ。
今由美君が病院に向かうところだよ」
急性硬膜下血腫って…、
かなりの重症じゃないか…!!
「私も由美に同行します。
何か状況に動きがあれば連絡して下さい」
そう言って、私は由美がいるであろう駐車場まで走った。
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手術中の文字が赤く点灯する中、私達は手術室前のソファに腰掛けていた。
ここに来るまでの車の中でも、今この時も、由美の手はずっと震えている。
「大丈夫よ。きっと、大丈夫だから…」
今は、こんなことしか言えない。
震える由美の手を握って、背中をさする。
白鳥君…。
______
どれくらい時間が経ったのか分からない。
何時間も過ぎていた気もするが、実際は数十分だったのかもしれない。
手術中のランプが消え、中から緑色の手術衣を着たお医者さんが出てきた。
その姿を見て、急いで立ち上がる私達。
「あの、白鳥君は…」
「手術は無事成功しました。命に別状はありません」
その言葉を聞いた瞬間、一気に安堵の気持ちが押し寄せてきた。
由美はその場に崩れ「良かった……」と言葉を零している。
「ありがとうございました」
そう言って、深く頭を下げた。