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【名探偵コナン】sangría

第43章 消失



窓から差し込む光に照らされて、目を覚ました。


「っ……いった……」


冷たい床から起き上がろうとすると、鈍い痛みが全身を襲った。
見ると、肘や腰や膝やあちこちに青アザや擦り傷ができている。太ももには大きな内出血。皮膚の下で滲んだ紫色が、いやに生々しく目に映る。

それだけじゃない。
身につけているのは、恐らく白だったはずのシルクのドレスだ。
裾は無惨に裂かれ、生地全体も煤と汚れで黒ずんでいる。とても綺麗とは言い難い。
目の前の姿見を覗くと、メイクは崩れて髪の毛もボサボサ。
おまけに、泣き腫らしたのか目はパンパンにむくんでいる。
ひどい。ひどすぎる、この格好は。

私はそろりと立ち上がり、周囲を見渡した。
すぐそばの床には、見知らぬタキシードジャケットが落ちている。
ベッドの下には、煌びやかなシルバーのハイヒールが丁寧に揃えられていた。
どれもこれも、覚えがない。

この部屋も、家具も、窓の外の景色も、一応見覚えがある。
ここはたしかに、私の部屋だ。
異様なのは私だけ。


「……私、昨日、何してたんだっけ」


ボサボサな頭を抱えて、掠れた声で独り言ちる。
頭がずきずきと痛む。視界の端がぐらぐら揺れる。
思い出そうとすると、頭の中に真っ白な霧がかかったように何も浮かんでこない。

ここまでボロボロということは、仕事中に犯人と揉め合いにでもなったか?
にしては格好があまりにフォーマルだ。
こんなドレス、持っていた覚えはない。
もしかして、わざわざ買ったのか?私が、自分で?こんなに露出だらけのドレスを?
いや、ありえない。

こんな服を着て行く場所なんて限られている。
パーティーか、ダンスホールか、何かのセレモニーか。
そんな場所にお呼ばれするような私では無い。生憎、仕事でさえそんな煌びやか空間とは縁遠い。

というか、何で私は床に寝ていたんだ。
寝落ちたのか?風呂も入らず、こんな格好で?

……駄目だ、何も思い出せない。
情報が少なすぎて推測すら成り立たない。
頭がズキズキして、喉が渇く。
ひとまず冷静になろうと、水を求めてキッチンへと向かった。


その時、ベッドの上の携帯が鳴った。
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