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【名探偵コナン】sangría

第38章 執行人とその後



数分後にはテーブルに並べられた食器は全て空になっていて、それを手に私は立ち上がる。



「いい、僕が洗う」

「え、いいよ。自分で食べた物は自分で洗うから」


シンクの前に立つと、そこに割り込むようにゼロも来た。
買い物まで行かせてましてや準備までしてもらったのに、後片付けまでさせるほど私は傲慢じゃない。
しばらく食器の取り合いが行われたが、最終的にゼロが洗いそれを私が拭くということで落ち着いた。
……結局私、何もしてなくないか?


なんだか今日のゼロ、全体的に変だ。
なんというか、甘い。私、凄く甘やかされている。
何故…?

そんなことを考えながら、水の滴る食器をゼロから受け取り拭っていった。
残っていた昨日の分もまとめて洗っているため、そこそこの量になった食器を捌いていく。




「昼食はどうする?」

「……へ?」


黙々と作業を続けていると、横に立つゼロがそんなことを口にした。
思わず素っ頓狂な声が出て、そのままゼロへと顔を向ける。驚く私に、何か変なことでも言ったか?とでも言うように首を傾げるゼロ。


……いや、だって、これが洗い終わったらすぐに帰ると思っていたから。
私が昨日酔いつぶれて、そのせいで足止めをしてしまったのだと思っていたから。



「あー、そもそも起きた時間が遅かったんだ。朝食を食べて間も無いが、時間はもう昼だぞ」


いや、お昼食べるの早くない?で驚いている訳ではなくてですね。むしろ余裕で食べれますけど。


その間も、ゼロは手際よく食器を洗っていく。それに対し、私の手はピタリと止まっているため目の前に濡れた食器がどんどん溜まっていった。



「……まだ、一緒にいていいの…?」


そう恐る恐る問う私に、今度はゼロが驚いた顔を向けてきた。



「…あぁ。
僕が一緒にいたいんだ。ダメか?」



そう質問で返される。
……そんなの、答えなんて1つしかないに決まってる。

私は再び前を向いて、水に濡れた食器を一つ手に取り丁寧に拭った。



「……ダメなわけ、ないじゃないですか」


前を向いたまま、ゆっくりとそう零した。
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