第37章 ゼロの
確か今日は、東京サミット当日だ。
厳戒態勢が敷かれている中で突然こんな騒ぎが起きれば、上が手間取るのも無理はない。
「あ、ごめんキャッチホンだ!
何かあったらまた連絡して」
『はい』
そうして佐藤との電話を切り、次いで掛かってきた電話を取った。
「もしも、
『さん!!きっとこれは全部『IoTテロ』だよ!!』
掛けてきたのはコナンくんだった。
「IoTテロって……まさか!!」
『犯人はネットにアクセスできる電化製品を無差別に暴走させているんだ!!』
「じゃあ、ネット接続を切れば暴走は止められるわね」
『うん!
確か現場から見つかった圧力ポットもIoT家電のはず』
「ってことは、犯人はこのIoTテロと同様に遠隔で操作したIoT圧力ポットを発火物にして、サミット会場を爆破した」
『そういうこと!!
だから、今検察にに身柄が拘束されてる小五郎のおじさんにはできっこないよ!!』
流石だ。IoTテロを見抜き、且つ爆破事件についてそこまで調べていたなんて。
期待以上の彼の働きに、思わずふっと笑みが零れた。
「ありがとうコナンくん。
後はこっちに任せて」
そうして私は電話を切り、阿鼻叫喚の巷と化している庁内で人をかき分けて目暮警部やみんながいるであろう会議室へと駆けた。
到着するなり、少し重たい扉を勢いよく開く。全員の視線が集まったところで、私は大きく口を開いた。
「これは、IoTテロです!!」
IoTテロという、聞きなれない単語に会議室内の空気がざわつく。
「ネットにアクセスできる家電製品のネット接続さえ切ってしまえばこの騒ぎは落ち着く、そうマスコミに伝えて下さい!!」
私の言葉を受け、この情報はすぐにマスコミへと伝達された。お陰で、一先ずこのテロでの最悪は避けられるだろう。
「君、一体どういうことだね?」
「つい先ほど、コナンくんが特定してくれました。
そして恐らくですが、このIoTテロとサミットの爆破は同一犯によるものと思われます」
「なにっ、それは本当か!?」
「はい。調べてみないことには分かりませんが、二つの事件はどちらも『Nor』を使った不正アクセスによるものと考えてよろしいかと。その場合、現在身柄が拘束されている毛利さんには犯行は出来ません」