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【名探偵コナン】sangría

第36章 女の秘密



翌日、

私は赤井さんからメールで伝えられた、ジョディが指定した待ち合わせ場所のカフェに来ていた。時間よりも早めに来たため、今は1人でコーヒーを啜っている。


実はこのカフェ、以前ジョディから赤井さんの死を伝えられたカフェと同じ所なのだ。
それも相まって、私は予想以上に緊張していた。
昨日赤井さんはああ言ってくれたけど、それでもジョディの本心は分からない。今日のことをきっかけに、ジョディともう友人と呼べる関係では無くなったらどうしよう。もう会いたくないと言われたらどうしよう。
周りの席の人達が楽しそうに会話をする中1人でいるせいか、思考がどんどんネガティブになっている。


すると、カランカランとドアベルを鳴らしながら待ち侘びた人物が店の中へと入ってきた。


「ごめんなさい!道が混んでて、遅くなっちゃった」

「全然大丈夫。時間ピッタリよ」


私の言葉通り、カフェの中央の柱に掛けられている大きな時計の針はちょうど真上を指している。焦らずとも、待ち合わせの時間ジャストだ。

ジョディは荷物を置いて座るや否や、私と同じホットコーヒーを注文した。それを横目に、少し温くなったコーヒーを啜る。
そうしてコトリとソーサーの上にカップを置き、一呼吸置いて口を開いた。



「…ひ、久しぶりね」

「そう?」


何から話し始めたら良いのか分からず、ぎこちなくそう言った私にジョディはキョトンとそう返した。


「に最後に会ったのが花見の時期だから、まだ3ヶ月くらいしか経ってないんじゃない?」

「そ、そうね!確かに、1年ぶりの時に比べればそこまで久しぶりでもないわね!なーに言ってんだろ私!」


あはは、と口端を不自然に引き上げて苦笑い。
私、普段ジョディとどんな話してたっけ。



「きょ、今日はいい天気よね!」

「え?んー、外曇ってるけど」

「あ、あれぇ、そうだっけ」


絞り出した結果出てきたのは天気の話題。コミュ障の常套句じゃんかよ。
だめだ、自然な会話が出来ない。

絶妙な空気にいたたまれなくなって、もう一度コーヒーを啜ろうとした。
……やばい、もうカップが空だ。くそっ、さっきジョディのコーヒーと一緒におかわりを頼めばよかった。
中身の無いカップを口に添えたところで何も飲めないけど、とりあえず形だけ飲んでる風に装う。
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