第34章 悪夢のつづき
「本当のことを言え。赤井とはどういう関係だ」
「どういう関係もクソも無いってば!ただの仕事仲間!!」
何を言っても掴む力は収まらない。正直、結構痛い。
「さっきから何でそんなに機嫌悪いのよ。寝不足だからって私に当たらないでくれます?」
「なぜって、君が僕に秘密ばっかりだからだろう!」
「…はぁ!?それ人のこと言えないでしょ!」
今の言葉で、私の中の何かがプチーンと切れた。
「そっちはいいよね!困ったら私を尾行して探って無理やり連れてくればいいんだからさ!
私なんてあんたの連絡先も知らないから会いたくてもあんたに会えないんだから!!
あーーさすが公安様ですわいいご身分ですこと!!!」
「なんだその言い方!それもこれも全部が危ない行動ばかりするからだろ!!こっちの身にもなってみろ!!
あの日現場に居たのを知ってからこっちはヒヤヒヤもんだったんだからな!!かと思えば僕じゃなく赤井の所に行くし、僕だって怪我してたのに赤井の手当てするし!!」
「あんたが東都水族館にいたの知ったのさっきだから!八つ当たりやめてくださるかしら!?!?
てか寝ろ!!近くで見ると隈酷過ぎなんだよバカ!!!」
「バ、バカは無いだろバカは!!誰のせいで寝れてないと思ってるんだ!!」
「知らねぇーよ!!」
ワーワーギャーギャー言い合いを続け、そして遂に私は掴まれた腕を無理やり振り払ってバンッ!!とドアから出ていった。
ドアの前には風見さんが立っており、勢いよく出てきた私に驚いたようだがすぐに落ち着いた様子で「自宅まで送ろう」と言ってくれた。だが、イライラが止まらない私は「結構です!!!」とその言葉を突っぱねてしまう。
態度が悪くてごめんなさい風見さん。
その後、行きと同じ複雑な経路を1人でスタスタと歩いていった。
強く掴まれたせいで痛々しい跡が残った腕を擦りながら「なんなのあれ!」「あームカつく!!」とか独り言を口にして。
傍から見ればだいぶやばい奴だっただろう。
ま、誰もいなかったからいいけど。
結局その日は、そのまま1人で警察庁を後にしたのだった。