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【名探偵コナン】sangría

第33章 純黒の



「さぁ君たち、彼女との面会はこれでお終いだ」

「「「えぇ〜!」」」

「しょうがないわ、お姉さんも病室へ戻らなきゃいけないんだから。
みんなも帰ろう?」


名残惜しそうにする子供たちに女性は近づいていく。


「ありがとうみんな。
このイルカのキーホルダー、大切にするから。
またいつか、みんなで観覧車に乗ろうね!」

「うん!」
「絶対ですよ!」
「乗ろーな!!」


そうして、女性は刑事に連れられて病室へと戻って行った。
別れが相当悲しかったのか、子供たちはさっきよりもしょぼん…としている。
すごく懐いていたもんな。


「じゃあ、みんなも気をつけて帰るのよ?
くれぐれも危ないことはしないように」

「「「はぁい…」」」



子供たちも見送り、私は1人思考に入った。


あの女性の対応や子供たちの懐き方を見るに、どうも組織に関与する人物には思えないんだよな。

だが、公安が出てきたということはあいつも……ゼロも何か噛んでいる。
やはり、彼女は組織の人物で間違いないのだろう。
ということは、女性のあの様子は記憶喪失が故か。


だとすると、恐らく公安は彼女の記憶を取り戻し察庁から盗まれた機密情報を取り戻そうとするはず。
ならばこれから彼らが向かうのは、彼女の記憶に何らかの刺激を与えるような場所。恐らくは、彼女が発作を起こした東都水族館の大観覧車。

そこに行けば、きっと何かが分かるはずだ。
赤井さんとも連絡が繋がらない今、組織に関しての情報を得たいなら自らが動く必要がある。


決意を固めて、私は1人車に乗り込み傾き始めた日を背にして東都水族館へと向かった。





















暫く走らせると、目の前には昨日も見た大観覧車が姿を現した。
日が完全に落ちているため5色のライトもさらに煌びやかに輝いている。

連休ということで混雑している駐車場を徘徊し、時間が掛かりながらも車を停めた。


昨日は医務室にしか用がなかったため詳しく見ていなかったが、噂通り賑やかで楽しげな場所だな。
あちこちカラフルなライトで照らされ、陽気な音楽も響き渡っている。
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