第33章 純黒の
ということは、今まさに捜索されている例の運転手が事故により記憶を失い、コナンくんらの元にいる可能性が大いに高いということか。
……その女性を調べれば、昨夜の出来事に関することが何か分かるかもしれない。
「分かった、引き受けるわ」
『ありがとうございます。
蘭さんから送られてきた写真、今送ります』
電話を切った後に佐藤から写真が送られてきた。
そこに写っていたのは、銀髪と左右で瞳の色が違うオッドアイを持つ綺麗な女性。見かけは明らかに外国人である。
なるほど、だからうちに回ってきたのね。
「よーし青柳、緊急任務よ。早急にこの女性の身元を調べる。
手伝ってちょうだい」
「了解です」
そうして私達は身元捜査に取り掛かった。
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数時間後、
「なーーんで何も出てこないのよ!!」
どれだけ調べてもあちこち問い合わせても、女性の身元なんて出てきやしなかった。
それどころか、いつどうやって日本に来たのかさえ毛ほども情報が無い。
「たくっ、どうなってんの!!!」
「おかしいですね、こんなに調べても何も出てこないなんて。いつもなら、さんがいれば10分やそこらで終わるのに」
「やっぱり何かあるのよ絶対!!」
「それなんすけど、俺ちょっと考えたんすよ。仮に警察庁の侵入者が事実だとして、もしかしたら昨日の交通事故の運転手と警察庁の侵入者って同一人物なんじゃないですかね?
例えば、今調べてる女性がどっかの諜報員か何かで、警察庁から何かしらの情報を抜き取ろうとした。でも見つかってしまい、逃げるためにカーチェイスをして首都高で事故った……みたいな。さすがに考えすぎですかね」
「……いや、あるわねそれ。
それなら、女性に関しての情報が何も無いのも頷ける。
私達に詳しいことが伝えられないのも、察庁から機密情報が盗まれた事実を隠蔽するためだとしたら」
「…だとしたら、やばいですよあの女性」
「ええ、すぐにでも身柄を確保した方が良さそうね…」
そんな事を話していると、まるで、タイミングを見計らったかのようにまたも携帯が鳴った。
画面には先程同様『佐藤美和子』の文字。