第29章 桜と追憶
「Wow! It’s beautiful. The cherry blossoms are in full bloom! 」
(わぁ、綺麗!桜が満開ね!)
花見をしたいというジョディの申し出を受けて、私はジョディと2人でとある神社に来ていた。
久しぶりの桜を前にして、私の方がテンションが上がっている。
「Even so, it's unusual for you to want to see the cherry blossoms.」
(それにしても、ジョディから花見がしたいだなんて珍しいわね)
「Because cherry blossoms are the national flower of Japan. Hanami is a traditional Japanese culture, right?
I came all the way to Japan. I want to experience Japanese culture! 」
(だって、桜は日本の国花。花見は日本の伝統文化でしょ?
せっかく日本に来たんだもの。日本の文化は体験したいのよ!)
もちろんジョディの言うことは理解出来る。
が、今日は何だか違う目的で来ているような気がするんだよな。
さっきから辺りをキョロキョロと見回して、まるで誰かを探してるみたいだし。
もうっ、花見がしたいって言うから連れてきたのに。
私を差し置いて別の誰かと約束でもあるわけ?
「ねぇ、さっきから誰を探してるの?」
「Huh! あ、いや、えーと…」
吃るジョディをジト目で見つめる。
やっぱり何か隠してるな。
「すごーい哀ちゃん!大吉!」
「羨ましいです!」
「オレのと取っ替えてくれねぇか!」
すると、遠くから聞き覚えのある声が聞こえてきた。
見ると、そこにはいつものあの子たちが仲良く丁度おみくじを引いている。もちろんコナンくんも一緒だ。
わーすごい遭遇率。最早驚きもしないよ。
「Hi, everyone! 」
子供たちを見つけるなり駆け寄っていったジョディ。
……逃げたな。
「あ!ジョディ先生だ!それにさんもいる!」
「みんな久しぶりね!」
「お久しぶりです!」
相変わらず元気に挨拶をしてくれる。
哀ちゃんは静かにペコっと会釈をした。