第24章 パスリング
某日、
私はとあるスーパーに買い物に来ていた。
そう、ご存知月に1回の買い出し日が訪れたのである。
実は最近、いつもの米花町のスーパーではなくそれよりも距離がある大きめのスーパーに来ることが多い。
また、変な世話焼きイケメンに遭遇したくは無いし、最近米花町にも知り合いが増えたからね。
それに、何だか知らないけど私の周りには料理が出来る男性が多い気がする。約2名ほど。
女として凄く負けている気分になるので、自分のプライドのためにも最近は自炊を頑張っているのだ。
それもあって、種類や在庫が豊富なこのスーパーまで、わざわざ車を走らせてきたというわけ。
____『太りますよ』___
ふと、沖矢さんのあの憎ったらしい言葉が頭に響いてきた。
余計なお世話だってーの!
そんなこんなでカゴに色んな食料を入れていく。
…でも、やっぱり足が早いものは買えないので乾物やら缶詰やらが多め。
うーん、色んなスパイスでも揃えて本格的なカレーでも作ろうかな。
煮込み料理だったら一気に作って冷凍出来そうだし。
そういえば、ポアロのあのハムサンドってどうやって作ってんだろ。
再現とか出来ないもんかな〜。
とか何とか考えていると、ふと見覚えのある人影を見つけた。
あれは、確か……
「あっ!梓さん!!」
「っ!?は、はい!」
思わず大きな声で呼んでしまい、梓さんはそれに驚いたように返事をした。
手には大量の食材が入ったカゴが握られている。
「あ、ごめんなさい、急に大きな声で…」
「い、いえ…えっと……」
知らない人に突然話しかけられて困惑気味の梓さん。
そりゃ、覚えてなくても無理ないか。
「先日、ポアロに伺った者です。
閉店間際だったのに色々ありがとうございました」
「……あぁ!!安室さんの知り合いの警察の方!!」
しばらく考えたあと、梓さんは思い出したように手を叩いた。
「あれ、でもどうして私の名前を……?」
「安室さんがそう呼んでらっしゃったので。
馴れ馴れしかったですかね…?」
「いえいえそんなこと!!梓で全然大丈夫です!
にしても、安室さんがそう呼んでたなんてよく覚えてらっしゃいましたね」
「記憶力には多少自信がありまして。
あ、ごめんなさい!私まだ名乗ってなかったですよね!
と言います」