第23章 中継
「…ん?爪楊枝……?」
ふと、高木くんが伊達の墓石からそれをつまんだ。
「どうしてこんなものが?」
「そういえば伊達さん、いつも爪楊枝咥えてたわね。
私たちの前に墓参りに来た誰かが、気を利かせてお供えしたのね」
「でも、一体誰が……」
その時、風に誘われてふと後ろを振り返った。
何だか、見慣れた人影が見えた気がした。
「どうしました?さん」
「えっ!あ、いや、何でもない」
そう言って、私はポケットに手を突っ込んで、入っていた1本の爪楊枝を握った。
本当は、私もこっそり爪楊枝を置いていこうとしたんだけどな。
……なーんだ、来てたんだ。
そして天を仰いだ。
見上げた空は、やっぱりスッキリとした青さだった。
『静かに眠れ…友よ……』
そんなことを、心の中で呟いた。
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「そういえば、2人のあつ〜いキス。
バッチリカメラが収めてたわよ」
「「えぇっ!!??」」
「職務中だったってのにねぇ〜何やってんだろうねぇ〜」
「あ、あの時は…、高木くんが生きてて嬉しくて……」
「じ、自分も満更ではなく……」
「ぷっ、2人とも超ーー素直ね!あ〜面白い!!
うふふ、これ、一生ネタにするから」
「「や、やめてくださいよ!!!」」
「えへへ」