第23章 中継
翌日
「何故だ!!道内の4階以上の工事現場は全て調べ尽くしたというのに、何故見つからん!?」
松本管理官の声が部屋に響いた。
「4階以上じゃ無いからさ!」
朝一で私が本庁まで連れて来たコナンくんがそう言い放った。
「犯人はトリックを使って、拉致現場を4階以上に見せかけていたんだよ!」
「あの映像に、そのトリックのヒントが隠されていたんです」
コナンくんと私の言葉に、一同は困惑している。
「だが、あの映像は昨日穴が空くほどチェックしたはずだが!?」
「ブレている部分まではちゃんと見ていなかったですよね?」
「揺れてカメラの映像の視点が微妙にズレてたから、コマ送りで見てみたんだ。
ほら!この映像をよーく見て!何か映ってるでしょ?」
コナンくんに言われた通りに画面を凝視する面々。
そこには、高木くんが落としたらしい警察手帳の紐の先についているフックが映っているのだ。
「これ、妙な位置に映ってないか?」
「ああ、まるで宙に浮いているような…」
「浮いているんじゃない、乗ってるだけさ」
不思議がるのも無理はない。
だって、そこに映っている地面は偽りのもの何だから。
「「鏡にね」」
コナンくんと私が口を揃えてそう言った。
「鏡だと!?」
「だから高木刑事は、警察手帳やシートを落としたんだよ!
この鏡のトリックに気付かせたくてね」
「つまり、正面の映像の下半分は虚像。実際は2階程度だったというわけです。
高木くんが今生きているのもその証拠。
サンピラー現象は氷点下20℃以下でしか起こらない。
それが目視できる極寒の地で、人間が背広1枚で放置されたら1日も待たずに凍死するはずです」
「なら、何故高木は生きているんだ」
「鏡の下裏に電熱線を這わせてるんだよ。雪が降っても積もらないように、熱で溶かすために。
だよね!さん」
「ええ、雪が積もったら鏡だとバレてしまうから。
でも、そのお陰で気温が上がり、高木くんには幸いしたようですけど」
「よしっ!!捜索の対象を2階以下の工事現場に変更!
2階以下なら一戸建ての家屋の可能性が高い!
リフォーム業者も捜索対象に入れるよう道警本部に要請しろ!!」
「「「はい!!」」」
爆発まで残り40分。
それまでに、是が非でも高木くんを見つけなければ…!