第23章 中継
「ねぇ白鳥くん、ナタリーさんが自殺した時間って分かる?」
「た、確か、死亡推定時刻は午前10時頃だったはずだ」
「お、おい、その日は丁度1年前の明日。
その時間に爆発するようにタイマーをセットしていたとしたら…」
「如何に足掻いても、残り18時間足らずで高木は吹っ飛ぶというわけか」
最後の松本管理官の言葉に絶句する。
あと、18時間…。
この何の手掛かりも無い状況で……?
「えぇ!?た、高木くんが拉致されている場所を北海道に限定した方がいいって、何でだねコナンくん?」
「だって高木刑事と写ってるカラスは多分ニシコクマルガラスだよ!
ニシコクマルガラスは、大体ヨーロッパにいるんだけど2回だけ日本に迷い込んで来たことがあって、その場所は2回とも北海道だったんだよ」
「だがな、それだけで北海道だと決めつけるのは……」
目暮警部とコナンくんのそんな会話が聞こえた。
「さん、あの光何ですか?」
「ん?どれ?」
佐藤の言葉で映像を確認してみる。
確かに、高木くんの背後に細い光の柱が見えた。
これは……
「「サンピラー現象」」
私とコナンくんの声が重なった。
「何ですか?それ」
「日の出や日没後に、太陽の光が空気中のダイヤモンドダストに反射して柱上に輝いて見える現象のことよ」
「これって、寒い北海道ぐらいでしか見られないはずだよね!?」
コナンくんが声を荒らげてそう言った。
確かに、ダイヤモンドダストが発生する気温は氷点下20℃以下。
ということは、少なくとも今高木くんはそんな極寒の地に晒されているという訳だ。
「よし、北海道だ!!高木が拉致されている場所を北海道だと断定する!
北海道警に捜査協力を仰ぎ、道内の建設業者及び解体業者全てに連絡。再度調査するように要請しろ!」
「「「はい!!」」」
「目暮と佐藤は北海道に飛べ!」
「「はいっ!!」」
そうして、再び全員が一斉に持ち場へと急行した。