第23章 中継
「高木くんの居場所は、普通に考えれば被疑者の故郷である北海道になりますよね」
「ああ。一応、地元の建設業者らに調べてもらっているんだが、映像に写ってるような4階以上の建造物の工事現場で高木を発見したという報告はまだ無いよ」
青柳に頼んでいる映像の発信元のサーバーの捜査も、未だに何も掴めていない。
やはり、手掛かりは高木くんが写っているあのビデオだけか。
「雨やら雪やら降ってくれれば、ある程度場所が絞りこめるんですけどね…」
「映っていたのはカラスだけだからな……」
「カラスが映っていたの?」
うーんと頭を悩ませる我々の言葉に、コナンくんが食いついたようだ。
「ええ、1度だけ」
「それ録画してるなら僕たちにも見せて!
動物なら子供の方が色々と詳しいと思うよ!」
「確かにそうね。
すぐに録画映像の準備を!」
「は、はい!」
コナンくんの言うことだ、きっと何か手掛かりが掴めるはず。
「どう?何か分かる?」
「うーん、ただのカラスだよな〜」
「ですね」
「でもほら!首のとこが灰色だよ!」
映像を見ながら唸る子供たち。
やっぱり難しかったか…。
「佐藤戻りました!それで、高木くんの状況は?」
現場から戻ったらしい佐藤が尋ねてきた。
「大丈夫よ、まだ生きているわ。かなり衰弱しているようだけど」
すると、映像を監視している千葉くんが突然「よしっ!」と声を上げた。
「どうしたの!?」
「今、高木さんが足のロープを板に擦り付けて切ったんですよ!
こうすれば、少しは落ちにくくなります!」
なるほど、だから高木くんは昨日からずっと足を動かしていたんだな。
大丈夫、彼はちゃんと冷静だ。
「あれ、でも足で何かしてるわよ」
「板にかかったシートを手繰り寄せてるんじゃないですかね?
体にかけて少しでも体温を逃がさないために」
すると、映像内の高木くんが突然シートを板から落とした。
え、体を温めるのが目的じゃないのか?
一体、何をしようとしているんだ。
「ちょっと待って!!あれは何!?」
佐藤が映像を指さしながらそう叫ぶ。
それもそのはず、映っていたのは時限式の爆弾であった。
高木くんが横たわっている板の下にガムテープで括り付けられていた。